研究内容

拡散光スペクトロスコピ・イメージング研究

近赤外光を用いて、ヒトを対象とする非侵襲生体計測技術・画像診断技術の開発と、それを用いた応用研究を行っています。
 

近赤外光トモグラフィ(near-infrared optical tomography, NIROT)開発

甲状腺がんは、通常、超音波検査と穿刺吸引細胞診で診断されますが、悪性度の高い濾胞がんは組織診断が必要です。NIROTでがんの低酸素領域を検出することで非侵襲的がん診断が可能になります。
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図1 健康人甲状腺のNIROT画像
 
 

脳機能イメージング研究

マルチチャンネル近赤外線スペクトロスコピ装置を用いて、課題遂行中の小児の脳活動を計測し、発達途上の脳機能について解析しています。
 

図2 計測風景
 
 

脳循環代謝研究

脳内ヘモグロビン濃度の定量計測が可能なタイムドメイン近赤外線スペクトロスコピ(TD-NIRS)装置を用いて、未熟児貧血の輸血基準制定のための基礎研究や、精神神経疾患の病態解明などの研究を行っています。
 

図3 TD-NIRS装置
 
 

生体光学特性値に関する研究

生体における光伝播シミュレーションは、技術開発ならびに光を用いる治療に必要ですが、結果は光学特性値に依存します。その光学特性を推定するために、フェムト秒レーザーとストリークカメラを用いた計測を行っています。
 

図4 フェムト秒タイムドメイン計測システム
 
 

浜松ホトニクスとの共同研究

SLM2光子励起蛍光顕微鏡の開発

生体を構成する組織の小さな変化は大病につながるものがあります。また大病によって変化してしまう組織もあります。蛍光顕微鏡は組織の微小な変化を際立たせることができます。そのためには、あらかじめ抗体や化学的な方法によって観察対象位置に蛍光色素が染色された、あるいは蛍光が発現するように遺伝子改変が施された試料が用意され、励起光を照射し特定部位から蛍光を発光させます。我々の研究室では、この2光子励起蛍光顕微鏡の特長である深部観察能力をさらに高めることを目指し、浜松ホトニクスとの共同研究を実施しました。2光子励起蛍光顕微鏡では、近赤外領域の超短パルス発振のレーザが用いられます。2光子吸収という特殊な吸収を利用して蛍光分子を励起します。この吸収を積極的に起こすために、光のエネルギー密度を高める必要があります。2光子励起蛍光顕微鏡に浜松ホトニクスで開発された空間光変調器 (SLM)を組み込むことによって、試料の形状起因の収差を補正し、深部でもきれいな画像を取得することが可能となりました。


 
 

SLM2光子励起蛍光顕微鏡を用いた生体観測

厚い組織を高精度に観察できるSLM2光子励起顕微鏡を用いて腎臓の観察を実施しました。腎臓には血液の中から不要物を尿中へと排出するための糸球体と呼ばれる器官があります。はるかに高い解像度で観察できる電子顕微鏡を用いた研究により、病気によっては糸球体の表面に突起状のものが現れることが知られていました。我々は特定の部位を特異的に染めることができ、かつ立体的にそして高精度に観察できるSLM顕微鏡を用いてその突起状の由来を調べました。その結果、突起状が基底膜由来であることを明らかにしました。


 
 

定量位相イメージングフローサイトメーターの開発

浜松ホトニクス、本学外科学第2講座と共同でおこなっている、定量位相顕微鏡を用いた血中循環腫瘍細胞(CTC)のラベルフリー検出法に関する研究として、大量のラベルフリー細胞集団を分析するために定量位相イメージングフローサイトメーターの開発を行っています。CTCの検知性能を高めるためにスクリーニング検査と精密検査をシームレスに行える2次元像・3次元像イメージングフローサイトメーターの試作を行っています。患者検体(血中に含まれる有核細御)の細分類を行うための条件の検討を行っています。
 
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新規光増感剤の合成ならびにその特性評価

静岡大学工学部と共同で、中心にリンが配位したリンポルフィリン誘導体を中心にその物性評価を行ってます。新輝合成したリンポルフィリン誘導体をはじめ、ベルベリンやパルマチンにおけるサポナイトが共存した際の光増感特性の変化やコロールの光増感効率についての測定を行っています。
波長可変レーザーとゲート付き近赤外マルチチャンネル検出器、近赤外用光電子増倍管により、様々な光増感剤により生成される一重項酸素の発光スペクトルと発光寿命を同時に測定することができます。
 
 
 
 
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